三寒四温とは言いますが、寒暖差が激しい今春。
花粉も派手に舞っていて、春は憂鬱という声も多いことと思います。
それでも、きゅっと締まっていた空気が緩み、草木や生きものたちが動き出すこの季節は、
一年なかでも特別の喜びを感じます。
ご紹介が遅くなりましたが、『最初に読む料理本』のお取り扱い店が増えました。大阪で初めてのお取り扱いとなります。
2月に初めてお取り扱いいただいた分が完売となり、再入荷させていただきました。
大手書店の中でも、ZINEやリトルプレスの出版物に力を入れている同店では、「文芸、人文社会、くらし、アートといったジャンルの本を中心に、選りすぐりの1冊をお届け」しているとのこと。本との出会いやクリエイターとの交流を楽しめるイベントも開催しています。
弊社が『最初に読む料理本』を発売以来、一般的な本の流通システムである「取次(とりつぎ)」を採用する書店で販売をしなかった理由は、本の返品ができる「委託(販売)制度」にあります。
このシステムは、リスクなく様々な本を取り寄せて販売できる、書店を護る良い制度である一方、売れなければ返品できるので、本の廃棄を増やしているという問題があります。
書店に並ぶ本のうち、年間で30〜40%の本がこの委託制度のもとで廃棄されています。
もちろんこれは、店頭で平積みになる“売れる本”を作ることばかりを考えてきた出版社にも責任があると思います。
いずれにしても委託制度は、大切に作った一冊の本を必要としている方に届けたい、という出版社の思いとは必ずしも一致する制度とは言えず、弊社では今までお取り引きをしてきませんでした。
今回、お取り扱いのオファーをいただき、大手書店として初めて正式に『最初に読む料理本』を置かせていただくことになった有隣堂グラングリーン大阪店は、すべてではないかもしれませんが、出版社から直接本を買い取る試みをしています。
独立系の書店だけでなく、大手書店も“売れる本“でなく、“売りたい本”を厳選して仕入れ、一冊一冊を最後まで責任を持って販売してくださるようになれば、本の廃棄は減るのではないかと思います。